カラックス『ポンヌフの恋人』

cinema
2000.03.25

アレックス三部作の最後を飾るのは究極の恋愛映画、『ポンヌフの恋人』。しかし、数年前に観たときとは印象がちがう。ストーリーが監督の手に余ってしまい、絶妙のコントロールを誇っていたキャラクスの作家的な手腕はここでは影をひそめてしまった感がある。JLGを超えんとする彼はおそらく無限の混沌に陥ってしまった。彼は今作、『ポーラX』でJLGからの逃走線を描きえたのだろうか。期待と不安が入り混じる。当時の撮影状況をよく知らないが、予算的な問題があったのかもしれない。「呪われた」、と評される映画はたいていそういう問題を抱えている。しかし、俳優の演技は徹底していてすばらしい。いったいドニ・ラヴァンって何者?

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監督:レオス・カラックス
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ
美術:ミシェル・ヴァンデスティアン
音楽:アルヴォ・ペルト、ベンジャミン・ブリテン、ヨハン・シュトラウス、ゾルタン・コダーイ、ディミトリー・ショスタコーヴィッチ
出演:ジュリエット・ビノシュ、ドニ・ラヴァン
1991年/フランス/125分/カラー

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