コロナ禍に思う

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2020.04.28

ぼくらは疫病の恐ろしさを忘れていたと思う。すくなくともぼくは、それがもっぱら肉体的な問題だと思いなしていた点を反省しなければならない。もちろん、黒死病のヨーロッパで、それが魔女狩りやユダヤ人差別と関連づけられることがあるのを、ぼくは十分に知っていたつもりだった。だが、忘れていたのだ。

戦後、疫病はほとんど撲滅に近い形の対処がおこなわれた。それくらいに、人間はウイルスに対する完全勝利を求めてきたし、またすくなくとも見かけにおいて、すべてとはいわないまでも、多くの戦場で達成したかのようだった。

しかし、ふたたび、ウイルスは人間の指のあいだから漏れ始めた。そうしたウイルスをめぐる新しい時代の幕開けとなるのかもしれなかった。それでとくに感じたのは、それが人間精神を異常な状態に追い込むことである。冒頭で述べた点だ。そのことは、今後も意識しておいていいだろう、とくにぼくのような人文学者の場合は。

さて、これで四度目となる動画を、外部サイト(YouTube)にアップしている。またレジュメもここに用意した。こんなときでも、歴史を勉強しようと思う稀有なひとに、贈りたいと思う。

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