ゴダール「カメラ・アイ」

cinema
2000.08.06

「もはや沈黙は共謀を意味する」というクリス・マルケルらの言葉に応じて集まったフランスの映画監督たちの、ヴェトナム戦争への映画的闘争、『ベトナムから遠く離れて』。ヨリス・イヴェンス、アラン・レネ、アニエス・ヴァルダ、ウィリアム・クライン、クロード・ルルーシュ、そしてJLGの作品群は、クリス・マルケルにより最終的に編集され、一本の作品となっている。どの作品も、それぞれ監督の個性が出ていて面白い。JLGのものを除けば、とくによかったのは、レネとヴァルダ(推定)のシーケンス。ドキュメンタリー映像によって、あるいはインタヴューによってヴェトナムを語るというのは彼ららしい(間違えている可能性あり)。この一連の作品群の中で、とりわけJLGの作品が特異にみえるのは、彼だけが、ヴェトナム戦争という現象を通じて目的としての映画の可能性を問うているからである。他はすべて、ヴェトナム戦争そのものが主題であり、映画に問うているのはその手段としての可能性に他ならない。つまるところ、JLGは単に当初のテーマに違反(逸脱)しているのである。が、非常にJLGらしい。そして、その態度は結局、事件としての歴史とわれわれとの越えがたい距離を明示することに成功している。短編集のなかのJLGはいつも際立っている。われわれは、決してカメラ・アイを忘れてはならない。

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監督:JLG
撮影:アラン・ルヴァン
総編集:クリス・マルケル
製作:SLON集団
1967年/フランス/15分(116分)/16ミリ/カラー/スタンダード

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