コロナ禍はひとまず落ち着いている。だが、経済への影響は依然としてつづいている。むしろ悪化している。「スピード感」という独特の言葉の用法のおかげで、政府はかえってもたもたしている印象を覚える。嘘を恐れて嘘を吐く、トップの臆病な言葉の使用法はあいかわらずだが、その臆病が国家全体に感染している。だから行動できない。下野に備えて資金集めでもしているのかと思うくらい、税金をなかば不正に使用している。とにかく、臆病にみえる。
すくなくとも学問をめぐる環境にかんして、同じ政権がつづいたこの八年間はひどい状況だった。コロナとともに、学問をめぐる惨状が過ぎ去ってくれることを願うばかりである。
学問は未来であり、過去である。いいかえれば、現在ではない場所に向けられている。またそうした非現在であるような学問がなされねばならない。自分の思考の中心を、その未規定な場所に定めていたい。この八年間、痛棒をくらったのは、学問そのものというより、そうした非現在中心の視野である、と思う。
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