コロナはもう、自分のなかでは終わっている。しかし、それはほんとうの終わりを意味しない。危機の常態化を意味している。受け入れるべきではない日常か、非日常かの選択を迫られるような、そうした社会が到来しつつある。もはや政権の性格はなんの関係もないし、なんの影響もおよぼさない。超政治的な政治がある。自分の視線はそこに向かっている。
同情と恐怖。これがニーチェのいう疫病の原因である。同情と恐怖とが、いま地球を覆いつつあるのだから、疫病の蔓延はこれからもつづく。状況はけっして好転していない。ウイルスの動向よりも、われわれの精神のうつろいのほうに期待するしかなくなっている。
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